「キャップストーンプロジェクト」シンポジウムを開催しました

 令和6年7月23日(火)、秋田拠点センターアルヴェにおいて、「キャップストーンプロジェクト」シンポジウムを開催し、地域企業・団体や金融機関、行政機関、関係団体、本学教職員など約180名が参加しました。本シンポジウムでは、参加者による意見交換や情報共有など活発な議論が交わされ、10月にスタートする「キャップストーンプロジェクト」に向け一丸となり取り組んでいく決意をしました。
 
 「キャップストーンプロジェクト」は、本学が令和5年9月に策定した「秋田県立大学ビジョン2033」にもとづき、企業が現場で直面している課題や実社会における諸問題を学生が企業との連携により解決策を導き出す実践型演習科目で、本年度の後期授業(学部3年次必修科目)から、システム科学技術学部の機械工学科、情報工学科、経営システム工学科の3学科で先行スタートし、来年度以降、同学部の知能メカトロニクス学科および建築環境システム学科の2学科、さらには生物資源科学部でも実施する予定です。

基調講演

 シンポジウムでは、日本で初めてキャップストーンプロジェクトを本格導入し、実践重視の教育プログラムを展開する、京都先端科学大学の前田 正史 学長をお迎えし、『キャップストーンプロジェクト ー企業と大学が連携する教育プログラム』と題してご講演いただきました。前田学長からは、「本プロジェクトをきっかけに大きな力を発揮する学生が非常に多く、学生への教育効果は想像以上に大きい。」、「企業が固定的な価値観でしか捉えていなかった事案に対し、学生が新しい発想で様々な提案をするケースが多く、企業からの評価も非常に高い。留学生の雇用に繋がったケースもある。」、「一方、プロジェクト拡大に伴う学内の環境整備や企業側でも時間の確保など、いくつか課題もある。」と解説をいただくとともに、「キャップストーンプロジェクトを核とした人財育成は非常に有効、県立大学での成功を期待しています。」とメッセージをいただきました。本プロジェクトによる学生の成長や企業の奮闘、リアルな現場の様子など、臨場感のあるお話を伺うことができ、大変貴重な機会となりました。
 


京都先端科学大学 前田 正史 学長


真剣に聞き入る聴講者


産学連携・地域創生を期待しています


世界を動かす人材を輩出しましょう

講演:テーマ「秋田県立大学の教育と地域貢献」

 本学の水野 衛 副学長は、「本プロジェクトは、企業のみならず、行政、教育、農業、自営など現実社会の幅広い分野の課題を対象としている。学生教育だけではなく、大学と地域との連携強化や地域活性化も期待しており、地域で活躍する人材を、地域の皆様と一緒に育成して地元に定着させることも目的としている。地域の皆様のご協力を是非お願いしたい。」と述べました。

 また、地域連携・研究推進センター副センター長/システム科学技術学部・機械工学科の鈴木 庸久 教授は、「本プログラムは、学生がものづくりの実践的な現場で学び、将来、世界を動かす人材を、ここ秋田で育て世界に輩出するプログラム。企業の未来の課題に学生と一緒に取り組んでいただき、学生の成長とともに、企業が新しい挑戦に取り組むきっかけにしてほしい。これを契機に様々な連携が生まれ地域が活性化していくことを期待する。」と述べました。
 


秋田県立大学 水野 衛 理事兼副学長


システム科学技術学部 鈴木 庸久 教授 


実践力のある人材を育てる!!


熱心にメモを取られる方も多く、関心の高さが窺えた

パネルディスカッション テーマ:「地域連携とキャップストーンプロジェクト」

 基調講演をいただいた前田学長、さらには秋田県を中心に風力発電事業を展開するウェンティ・ジャパンの佐藤 裕之 代表取締役社長にも参加いただき、システム科学技術学部/情報工学科の森田 純恵 教授の進行により、パネルディスカッションが行われました。「本プロジェクトにより地域連携はどう変わるのか?、学生はどう成長するのか?」などといった内容をもとに、会場を巻き込みながら質疑応答・意見交換が行われ、会場は時折笑いに包まれるなど、和やかな雰囲気で進められました。登壇者や会場からは、「学生が地域を変える起爆剤になる可能性がある。地域活性化に向け、化学反応やゲームチェンジが起こることを期待する。」、「座学のテストの点数を競わせるのではなく、企業や地域の現場で課題と向き合い、実践的に学び、将来は社会で活躍できる、挑戦的で志の高い学生を育て上げたい。」、「将来的には、秋田でスタートアップに挑戦する学生も増えてくるなど、様々な効果が期待できるのではないか。」、「課題を協議する過程に積極的に学生を絡めてほしい。秋田にいる意義、将来的に働くことの魅力など、“トキメキ”を掘り起こす過程である。企業にとっても、自社の課題を認知する貴重な機会。是非、成功させてほしい。」など、様々な意見が飛び交い、最後は本学に対する熱いエールもいただきました。
 


地域×キャップストーンプロジェクト


ファシリテーター 森田 純恵 教授


秋田県立大学 福田 裕穂 理事長兼学長


ウェンティ・ジャパン 佐藤 裕之 代表取締役社長 


会場とも積極的に意見交換をしました


多くの共感の声が寄せられた

プレス発表会を開催

 シンポジウム開会に先立ち、同会場においてメディア様向けの説明会を開催しました。
 たくさんのメディアにお集まりいただき、新聞、テレビ等で取り上げていただきました。
 

キャップストーンプログラムとは

 キャップストーンとは、「ピラミッドの頂上に載る石」の意で、本学の専門教育の総仕上げの一つに位置づけられています。3年生までに学修した知識や技能を統合・応用して、企業が現場で直面している課題や実社会における問題の解決策を提示するプロジェクトにグループで取り組む教育プログラムです。企業の方々と協働しながらプロジェクトを進めていくリアルな体験は、「究極のインターンシップ」と言えます。なお、本プロジェクトで取り組む課題は社会的課題、品質管理、新商品開発など幅広い課題が想定されます。