本学大学院生が日本生態学会大会でポスター賞「最優秀賞」受賞しました

 令和7年3月15日~18日に札幌コンベンションセンターで開催された、第72回日本生態学会大会において、生物資源科学研究科・博士前期課程2年/土壌環境学研究室の菅原 颯太さんがポスター発表を行い、見事、ポスター賞「最優秀賞」を受賞しました。

 今回の最優秀賞は、応募総数546件の中から16件(上位3%未満)のみが受賞し、各分野で最も高い評価を受けた1件に送られるもので、菅原さんは「物質循環 / Material cycling」分野において、研究内容および発表技術が優れていると高く評価されました。

研究発表タイトル・発表者

「ミミズがダイズの緑肥由来窒素利用効率に与える影響:15Nトレーサー法による定量評価”」
 菅原颯太、高階史章佐藤孝田中草太
 

研究概要

 秋田県の水田転換畑では、近年、環境負荷を抑制するため、緑肥や不耕起栽培といった環境保全型栽培の導入が進められています。大潟村の水田転換畑におけるダイズ栽培では、窒素供給や土壌物理性の改善を目的としてマメ科緑肥が導入されています。しかし、ダイズの窒素要求量が高まる時期と緑肥由来の窒素が供給される時期は一致していません。これにより、緑肥由来窒素がダイズに十分に供給されないことが懸念されています。本研究では、この課題に対して、大型土壌動物であるミミズの機能に着目して研究を進めました。ミミズが緑肥由来窒素の動態に及ぼす影響を解明するため、15Nトレーサー実験によって、ミミズのフン団粒に取り込まれる緑肥由来窒素量を定量評価しました。その結果、フン団粒には緑肥由来窒素が多く取り込まれることが明らかになりました。これにより、緑肥由来窒素の分解が抑制され、ダイズの窒素要求量が高まる時期に緑肥由来窒素が供給される可能性が示されました。また、ミミズの存在により、ダイズの草丈、葉色、および根の生育が向上することを定量的に示しました。本研究により、ミミズの存在は、ダイズの緑肥由来窒素の利用率を高めるとともに、収量を増加させる要因となることが示唆されました。

受賞コメント 

 このような素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。私がミミズに興味を持ったきっかけは、学部3年次の研究室訪問です。研究室配属後から本格的にミミズについての研究を始めました。先生方や土壌環境学研究室の皆様のお力添えがあり、ここまで研究を進めることができました。ミミズは土壌を物理・化学的に改変することにより、作物収量を高めることが示唆されています。今回の受賞ポスターの内容は、農地におけるミミズの生態や機能を明らかにしようとする研究成果の一部です。農地におけるミミズの生態や機能については、まだ広く知られていないことが多いです。今後は農業分野への就職が決まっているため、私が感じたミミズの素晴らしさを多くに人に伝えることで秋田県の農業に貢献していきたいと考えています。
 

受賞した菅原 颯太さん

第72回日本生態学会大会


指導する田中草太先生と!