【プレスリリース】本学教員らの研究チームがドローンを活用した高高度飛行によるCO2濃度測定に成功

ドローン観測の専門家チーム(右から2人目の白いヘルメットが生物環境科学科 井上 誠 准教授)

 この度、生物資源科学部 生物環境科学科井上 誠 准教授(大気・水圏環境学研究室、専門分野:気象学)が開発したドローン用の温室効果ガス測定システムを用いて、地上から高度740mまでのドローンによる二酸化炭素濃度の観測に国内で初めて成功しました。本システムで500mより上空での二酸化炭素濃度の観測およびデータを取得したのは初めてです。

 井上准教授のほか、東京大学の今須良一教授(大気海洋研究所)を中心に構成される研究チームは、3月18日に東京都・多摩川河川敷で井上准教授が開発したドローン用の温室効果ガス測定システムを市販の回転翼ドローンに搭載し、700メートルを超える高さに到達させました。計測およびデータ取得については、最高到達点から降下する際、100m単位の高度で30秒間ホバリングさせて行われ、ホバリングさせた時刻は秒単位で記録しました。上空700m、600m、500mと同様の作業を繰り返し、上空100m以降は着陸までの間にも数回データを取得しました。
 

観測中の様子

地上700mからのドローンからの映像

本学で開発した測定システムを搭載したドローン

二酸化炭素濃度測定器を装置マウントに固定

井上 誠 准教授のコメント

 この度、本学で開発したドローン用の温室効果ガス測定システムを市販の回転翼ドローンに搭載し、東京都内において地上から高度740mまでの二酸化炭素濃度の観測に成功しました。このシステムで500mより上空のデータを取得したのは初めてとなります。今回のフィールド調査は、東京大学の今須良一教授を中心に、秋田県立大学、東京都立大学、東北大学、合同会社ソラビジョン、株式会社東北ドローン、矢野法律事務所などの合同チームで実施されました。得意分野が異なる研究者・技術者が集まり、協力することで技術や方法論の共有が進み、新しい発見につながると感じました。今後、データ解析とさらなる観測を行うことで、二酸化炭素濃度の日中・夜間における分布の変動要因を明らかにし、温暖化対策に役立てたいと考えております。
 

本学卒業生も参画

 今回、ドローンの機材調整や飛行などを担ったのは、本学システム科学技術学部 建築環境システム学科の卒業生で、株式会社東北ドローンで活躍する脇坂 翔吾さん(指導教員:板垣直行教授)です。頼もしい卒業生が、プロジェクトの推進に大きく貢献しています!
 

ドローンを点検する脇坂さん

 井上准教授が開発したドローンによる観測システムは、比較的軽量かつ安価で手軽に飛行させることができ、測定したい場所を自由に設定できるため、高頻度で観測するこが可能です。狙った座標のデータが取得できるなど、今までにないデータをスピーディーに取得できることから二酸化炭素濃度の観測に大きなインパクトがあります。今後、ドローン観測が全国に展開されることでデータの集積が加速し、地球温暖化対策に貢献することが期待されます。